血液透析患者の冠動脈Caスコアと頚動脈動脈硬化との関連性について
渡辺内科クリニック 検査・透析センター
○川村麻友・伊羅子晴菜・原諒汰・小曽根優羽・小暮優希・西川瑞基・小林航・佐藤翔・芳野響一・清水亮汰・栗原研二・渡辺幸康
前橋赤十字病院 リウマチ腎臓内科 渡辺嘉一
【研究目的】
血液透析患者における動脈硬化の進展は生命予後に関する重要なリスクファクターである。
2013年、当院に導入されたマルチスライスCTを用いて、冠動脈Caスコアを測定し、血液透析患者におけるのCaスコア(アガストンスコア)と頚動脈エコーで測定した頚動脈動脈硬化との関連性について、詳細に検討した。
【方法】
■Caスコアの測定:全身用X線CT診断装置64列/128マルチスライスCT(日立製作所SCENARIA EX edition)および80列/160マルチスライスCT(キャノンメディカルシステムズAquilion Serve)を用いて、透析患者のAgatstonスコアをカルシウム定量化アプリケーションを使用して測定した。
■頚動脈エコーによる頚動脈の構造の検討:6.7MHz高周波プローベにて, SelzerおよびLondonらの方法を参考にして, 頚動脈分岐部から2㎝近位の総頚動脈において,各種計測を施行した。IMTは血管厚の指標, LCSAは血管腔横断面積の指標, IMCSA/BSAは血管壁横断面積の指標を検討した。また, 頚動脈プラークスコアは総頚動脈における最大のIMTをもって定義した。
■頚動脈エコーによる頚動脈の血管抵抗性の検討:頚動脈分岐部から2㎝近位の総頚動脈において,血管抵抗性の指標であるPI (pulsatility index;拍動係数)、RI (Resistance index;抵抗係数)、および、ATI (Acceleration Time Index)を測定した。また、頚動脈の血流波形から、Stroke Volume (mL)およびFlow Volume (mL/min)も測定した。
■P.I.=PSV-EDV/TAMV、R.I.=PSV-EDV/PSV、A.T.I=A.T/PT
( PSV:収縮期最大速度、EDV:拡張期最大速度、TAMV:平均血流速度 、AT:加速時間、PT:1心拍時間)
■統計解析:“Stat View” version 5.0で,分散分析・T検定及び回帰分析を行い,2指標間の相関はピアソンの相関係数を用いて検討し,各群間の有意差検定は2群間ではカイ2乗検定・t検定を行った。次に, 冠動脈Caスコアを従属変数とした重回帰分析を行った。
【結語】
1. HD患者の 冠動脈Caスコアは頚動脈プラークスコア・頚動脈IMTと正の相関を示した。
2. HD患者の 冠動脈Caスコアは頚動脈血管腔横断面積と負の相関を示し、血管壁横断面積とは正の相関を示した。
3. HD患者の 冠動脈Caスコアは頚動脈血管抵抗と正の相関を示した。
4. HD患者の 冠動脈Caスコアは頚動脈血流と負の相関を示した。
5. HD患者の 冠動脈Caスコアは頚動脈プラーク分類ではⅠb群、すなわち、不均 一な石灰化を認める群が1番高かった。
6. 冠動脈Caスコアを従属変数とした重回帰分析では頚動脈プラークスコア・頚動脈血管腔横断面積・頚動脈血管壁横断面積・頚動脈血管抵抗P.I.が有意な変数として認められた。