血液透析患者の左室収縮・拡張機能障害に対するバイオマーカーの検討
渡辺内科クリニック 検査・透析センター
○小暮優希・川村麻友・伊羅子晴菜・切通慎太郎・芳野響一・増田樹・西川瑞基・栗原研二・渡辺幸康
前橋赤十字病院 リウマチ腎臓内科 渡辺嘉一
【対象及び方法】
近年、左室駆出率EFの保たれた拡張機能障害を伴う心不全HFpEF(heart failure with preserved ejection fraction)が、心不全患者の約半数を占め、予後が必ずしも良くないことが分かっているが、血液透析患者のHFpEFに関する病態については未だ不明である。また、血液透析患者の拡張機能障害における心臓バイオマーカー測定意義についての検討は十分ではない。今回、我々は当院血液透析患者79例に心臓超音波エコー検査を施行し、Ⅰ正常群、ⅡHFpEF群、Ⅲ拡張機能正常なHFrEF+HFmrEF群、Ⅳ拡張機能障害を持つHFrEF+HFmrEF群にグループ分けし、心エコーの指標とバイオマーカー(BNP・NT-proBNP・心筋ミオシン軽鎖1)との関連性を検討したので報告する。
【結果】
1. HD患者の心機能は正常22%, HFpEF48%, HFrEF+HFmrEF29%であり、EFの保たれた拡張機能障害が約半数認められた。
2. HD患者のBNPは正常群とHFpEF群で有意差がないが、Ⅳ群では他の群に比べて有意に高かった。
3. HD患者のNT-proBNPは正常群とHFpEF群では有意差がないが、Ⅳ群では他の群に比べて有意に高かった。
4. HD患者のHFpEF群はi-PTHが有意に低かった。
5. HFpEF群においては心筋肥大と心筋ミオシン軽鎖1は正の相関関係にあった。
6. HFpEF群においては心筋壁肥厚とNT-proBNPは正の相関関係にあった。
7. HFpEF群においては心筋収縮機能とNT-proBNPは負の相関関係にあった。
8. HFpEF群においては心筋拡張機能障害悪化と心筋ミオシン軽鎖1 は正の相関関係にあった。
9. HFpEFを従属変数とした重回帰分析ではRWT,Simpson法EF,NT-proBNPが有意な独立変数として認められた。
10. 収縮+拡張機能障害検出のためのROC解析で、BNPとNT-proBNPが有意なマーカーとして認められた。BNP、NT-proBNPのカットオフ値はそれぞれ510、14672と高値であった。
【結論】
HD患者のHFpEF群における心臓バイオマーカーは心臓の構造変化及び収縮・拡張機能と有意に関連性を有すると思われた。