血液透析患者の下肢CT石灰化スコアとPentosidine・sRAGEとの関連性について
渡辺内科クリニック 検査・透析センター
○芳野響一・岸部伊吹規・新井綾夏・斉藤浩次・切通慎太郎・増田樹・島立竣介・西川瑞基・道園ルリ子・栗原研二・渡辺幸康
前橋赤十字病院 リウマチ腎臓内科 渡辺嘉一
【はじめに】第54回日本透析医学会シンポジウムにおいて、低esRAGE-高Pentosidin は透析患者の動脈硬化・生命予後を悪化させることを既に報告した。第46回群馬県透析懇話会において、下肢CT石灰化スコア60%以上の群は60%未満の群に比べて生命予後は有意に悪いことを示した。今回我々は下肢CT石灰化スコアと血中Pentosidine及びsRAGEとの関連性について検討した。
【対象および方法】対象はHD患者70例に対して、下肢の動脈硬化・石灰化の進展度を評価する指標として、下肢単純CTを施行し、下肢CT石灰化スコアを測定した。次に血中ペントシジン及びsRAGE濃度を測定し、下肢CT石灰化スコアとの関連性について検討を行った。下肢CT石灰化スコアの測定方法は、64列/128マルチスライスCTを用いて、透析患者の下肢単純CTを施行し、両側の総腸骨動脈、外腸骨動脈、浅大腿動脈、膝窩動脈、後脛骨動脈の長さの総合計(L)を測り、両下肢の石灰化領域の長さの総合計(C)を計測した。そして、C÷L×100(%)を計算し、その値を下肢CT石灰化スコアと定義した。
【結果】HD患者の下肢CT石灰化スコアは血中ペントシジンとは有意な正の相関が認められ、血中sRAGEとは有意な負の相関が認められた。HD患者の血中ペントシジン濃度は下肢CT石灰化スコア60%以上の生命予後の悪い群は60%未満の良い群に比べて有意に高く、血中sRAGE濃度は有意に低かった。下肢CT石灰化スコアを従属変数とした重回帰分析において、ペントシジンとsRAGE は有意な独立変数として認められた。
【結論】HD患者の下肢石灰化・動脈硬化の進展において、ペントシジンとsRAGE 、すなわち、酸化ストレスが有意に影響をおよぼしているものと思われた。