第46回群馬県透析懇話会

血液透析患者の下肢CT石灰化スコアと生命予後との関連性について

 

渡辺内科クリニック 検査・透析センター

○岸部伊吹規・斉藤浩次・新井綾夏・金田輝・切通慎太郎・今泉百臣・石川ひろみ・高﨑惣太・道園ルリ子・栗原研二・渡辺幸康

前橋赤十字病院 リウマチ腎臓内科 渡辺嘉一

 

【対象及び方法】

血液透析患者の足病変は、年々増加している。今回我々は、当院透析患者106例において、下肢の動脈硬化・石灰化の進展度を評価する指標として、下肢の単純CTを施行し、下肢石灰化領域の指標として、下肢CT石灰化スコアという新たな概念を導入し、従来の各種動脈硬化指標、すなわち、冠動脈Caスコア・頚動脈プラークスコア・ABI・ ba-PWV・SPP・PVRなどとの関連性について、比較検討をおこない、下肢CT石灰化スコアと生命予後との関連性について検討した。下肢CT石灰化スコアの測定方法は、全身用X線CT診断装置64列/128マルチスライスCTを用いて、透析患者の下肢単純CTを施行した。両側の総腸骨動脈、外腸骨動脈、浅大腿動脈、膝窩動脈、後脛骨動脈の長さの総合計(L)を測り、両下肢の石灰化領域の長さの総合計(C)を計測した。そして、C÷L×100(%)を計算し、その値を下肢CT石灰化スコアと定義した。2年間の観察期間で、総死亡・生存率との関連性について、カプランマイヤー法・累積ハザード・多変量Cox比例ハザード分析を施行した。

 

【結果】

1.血液透析患者では、足病変が多い(9.4%)。

2.下肢CT石灰化スコアは年齢、透析歴、Caスコア、Plaqueスコア、ABI、ba-PWV、PVRと有意な相関があった。

3.血液透析患者の下肢CT石灰化スコア60以上の群は60未満に比べて生存率は有意に低かった。

4.下肢CT石灰化スコアを層別化した多変量総死亡Cox 比例ハザード分析で、下肢CT石灰化スコアが有意な変数として認められた。

 

【結論】

血液透析患者における足病変を評価するための検査において、下肢CT石灰化スコアはSPPやPVRに比べて遜色のない有用な検査方法であることが判明し、また、生命予後を検討する上でも有意な指標として評価できると思われた。

血液透析患者の下肢CT石灰化スコアと生命予後との関連性について

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