Hybrid HDF とI-HDFの炎症性マーカー・透析効率の比較研究
渡辺内科クリニック 検査・透析センター
○三友弘紀・切通慎太郎・金田輝・斉藤浩次・道園ルリ子・高崎惣太 ・石川ひろみ・今泉百臣・栗原研二・渡辺幸康
【はじめに】
I-HDFは、透析中に間歇的に補液を繰り返すことにより、血圧低下や末梢循環を改善し、ヘモフィルタの性能改善、溶質の除去効率の向上を目的とした治療法であるが、長期透析合併症予防を目的とする場合、除去効率は十分ではない。我々はI-HDFからHybrid HDFに変更し、炎症性サイトカインなどの中分子量から大分子量物質の溶質除去性能・透析効率がどう変化するか検討を加えた。
【対象及び方法】
対象は、当院I-HDF15例をHybrid HDFに変更し、高感度CRP、高感度TNF-α、高感度IL-6、高感度IL-1β、プロカルシトニン、α1-MG、β2-MG、プロラクチンの治療前後の値を測定し、除去率をHt補正し計算した。アルブミン漏出量とクリアスペース率も測定した。I-HDFから2週間後にHybrid HDFに変更し、上記数値の治療前後での変化を検討し、Ht補正した溶質除去率を計算した。Hybrid HDFは8L後希釈HDFに間歇補充1.4Lの治療モードとし、透析液はニプロ社製リンパックTA1を、透析機器はニプロNCV-3を使用した。
【結果】
透析前後での変化は高感度TNF-α、プロカルシトニン、β2-MG、プロラクチンではI-HDF、Hybrid HDFともに有意に減少していたが、高感度IL-6、IL-1βではI-HDF、 Hybrid HDFとも不変で、有意差は認められなかった。TNF-α、プロカルシトニン、α1-MG、β2-MG、プロラクチンのHt補正した除去率は有意にHybrid HDFがI-HDFより優れていた。アルブミン漏出量はHybrid HDFの方がI-HDFより多く、クリアスペース率は有意にHybrid HDFの方がI-HDFより高かった。
【結論】
今回、我々はI-HDFからHybrid HDFに変更し、透析前後の除去率を検討したが、TNF-α、プロカルシトニンなどの炎症性マーカー除去率は有意にHybrid HDFの方がI-HDFより優れており、α1-MG、β2-MGなどの中分子から大分子量の溶質除去率は有意にHybrid HDFの方がI-HDFより優れていた。長期透析合併症予防という観点からHybrid HDFは有用なツールとなりうるものと思われた。