血液透析患者の足病変と血流検査について
○今泉百臣1)、金田輝1)、切通慎太郎1)、捧竜成1)、石川ひろみ1)、荒巻奈々1)、河上利香1)、井田智也1)、斉藤浩次1)、栗原研二1)、渡辺幸康1)、渡辺嘉一2)
渡辺内科クリニック 透析センター1)、前橋赤十字病院 リウマチ腎臓内科2)
【研究目的】血液透析患者の足切断数は、年々増加している。2016年の診療報酬改定によって、透析患者の下肢末梢動脈疾患重症化予防の評価のため、下肢末梢動脈疾患指導管理加算が1月につき100点がつくようになった。検査としては、ABIとSPPが採用され、ABI 0.7以下又はSPP40mmHg以下の患者については、PADの専門的な治療体制を有している保険医療機関に紹介を行うことになっている。そこで、今回我々は、足病変を評価するための各種血流検査、すなわち、ABI・TBI・SPPについて、足病変を検知する上での感度及び有用性について、当院透析患者において、比較検討を行い、再評価をおこなった。
【対象および方法】当院透析患者202例において、足病変を評価するための各種血流検査、すなわち、ABI・TBI・SPPを測定し、足病変を有する14例を検知する上での感度及び有用性について、比較検討・評価をおこなった。
【結果】各種血流検査のROC解析の結果、SPP(Pl;足底)が、ABI・TBI・SPP(An;足首)に比べて、有意な感度及び特異度を認める検査であった。SPP(Pl)は年齢・ABI・TBI・Plaque score・SPP(An)と有意な相関を示したが、透析歴とは相関を示さなかった。SPP(Pl)を従属変数とする重回帰分析では、SPP(An)>ABI >TBIの順に、有意な独立変数として認められた。PAD診断における各種診断法の感度及び特異度は、ABI・TBI・SPP(An)に比べ、SPP(Pl)のみが有意差を認め、感度は63.6%、特異度は84.8%であった。
【結論】1.血液透析患者では、足病変が多い(6.9%)。
2.透析患者の足病変を評価するための血流検査においては、ABIやTBIに比べて、SPPが感度及び特異度において、最も優れており、有用性が高かった。
3.特に、SPPの測定部位においては、足首(An)よりも、足底(Pl)の方が、優れていた。