第44回群馬県透析懇話会

前希釈On-lineHDFと後希釈On-lineHDFのFGF-23,α-Klotho蛋白,炎症性マーカーの除去率及び透析効率に関する研究

○井田智也1)、今泉百臣1)、金田輝1)、切通慎太郎1)、捧竜成1)、石川ひろみ1)、荒巻奈々1)、河上利香1)、斉藤浩次1)、栗原研二1)、渡辺幸康1)、渡辺嘉一2)

渡辺内科クリニック 透析センター1)、前橋赤十字病院 リウマチ腎臓内科2)

【研究目的】近年、FGF-23値の低下が死亡率低下に結びつく可能性が示唆されている。我々はFGF-23・可溶性α-Klotho及び炎症性サイトカイン等の中分子量から大分子量物質の溶質除去能が、前希釈・後希釈の置換法の違うOn-line HDFにおいて、どのように差があるか検討した。

【対象および方法】対象は、4時間48L置換前希釈On-line HDF16症例、2週間後に4時間12L置換後希釈On-line HDFに変更し、透析前後のFGF-23、可溶性α-Klotho、高感度TNF-α、高感度IL-6、高感度IL-1β、プロカルシトニン、α1-MG、β2-MG、プロラクチンを測定し、治療前後の除去率とHt補正除去率を計算した。透析液はニプロ社製リンパックTA1を、透析機器はニプロ社製NCV-3、ダイアライザーはマキシフラックスを使用した。

【結果】前希釈は、後希釈に比べて、透析前後のFGF-23、可溶性α-Klotho濃度の変化は、有意でなかったが、可溶性α-Klothoの除去率は、有意に前希釈の方が高く、後希釈では透析後に逆に濃度の上昇が認められた。前希釈及び後希釈ともに、高感度TNF-α、プロカルシトニン濃度は、透析前後で有意に減少した。TNF-α除去率と高感度IL-6除去率は、後希釈の方が有意に高かった。α1-MGの透析前後の濃度変化は、前希釈・後希釈とも有意差はなかったが、α1-MG除去率は、後希釈の方が有意に高かった。β2-MGの透析前後の変化は、前希釈・後希釈ともに有意に低下したが、β2-MGの除去率は、前希釈・後希釈ともに有意差はなかった。後希釈は、前希釈に比べて、アルブミン漏出量は、有意に高かった。

【結論】1. 後希釈は、可溶性α-Klothoを減少させず、透析患者の生命予後に有利な治療法ではないかと思われた。

2.後希釈は、炎症性サイトカイン除去率及び透析効率の良好な治療法である

前希釈On-lineHDFと後希釈On-lineHDFのFGF-23,α-Klotho蛋白 炎症性マーカーの除去率及び透析効率に関する研究

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