第43回群馬県透析懇話会

血液透析患者のCaスコアと生命予後との関連性について

渡辺内科クリニック 透析センター○金田輝・切通慎太郎・捧竜成・棚橋宏介・斉藤浩次・柿沼敦子・栗原研二・渡辺幸康、 前橋赤十字病院 リウマチ腎臓内科 渡辺嘉一

【はじめに】我々はFGF-23が透析患者の血管石灰化に強く関連すると発表してきた。今回、われわれはこの事実を証明すべく、64列マルチスライスCTを用いて、冠動脈石灰化スコア(Caスコア)を測定し、Ⅰ群:Caスコア<10、Ⅱ群:11-399、Ⅲ群≧400の3群に分けて、透析患者のCaスコアと血中FGF-23、また、最近注目を集めているα-Klotho蛋白、VitD関連物質、Mgとの関連性を検討し、各種マーカーと透析患者の生命予後との関連性をプロスペクティブに検討した。

【対象および方法】当院維持透析患者80例のCaスコアを測定し、血清intact FGF-23、可溶性α-Klotho蛋白質濃度、1,25(OH)2VitD、25(OH)VitD、Mg濃度を測定し、各種マーカーと透析患者の生命予後との関連性を4年半にわたる観察期間において、プロスペクティブに検討した。

【結果】FGF-23濃度はCaスコアⅠ群・Ⅱ群に比べて、Ⅲ群の方が有意に高く、α-Klotho蛋白濃度はⅠ群に比べて、Ⅲ群の方が有意に低かった。1,25(OH)2VitD濃度、25(OH)VitD濃度は3群間で有意差は認められなかった。Caスコアの重症度に関連する単変量有意差検定・多変量ロジスティック回帰分析尤度比検定では、FGF-23・α-Klothoが有意な関連因子であった。Caスコア群別総死亡・心血管死亡Kaplan-Meier累積生存曲線ではCaスコアの重症度に応じ、生存率の低下が認められた。Caスコアを層別化した単変量総死亡Cox比例ハザード分析では、1,25(OH)2VitDが、多変量総死亡Cox比例ハザード分析では、1,25(OH)2VitD・FGF-23・α-Klothoが有意な関連因子であった。Caスコアを層別化した単変量心血管系死亡Cox比例ハザード分析では、α-Klothoが、多変量心血管系死亡Cox比例ハザード分析では、補正Ca×P値・1,25(OH)2VitD・FGF-23・α-Klothoが有意な関連因子であった。

【結論】透析患者の生存率は冠動脈の石灰化の重症度に応じて低下しており、冠動脈の石灰化に1,25(OH)2VitD・FGF-23・α-Klotho蛋白が強く関連しており、生命予後との関連性において、注目すべきマーカーであると思われた。

血液透析患者のCaスコアと生命予後との関連性について

タイトルとURLをコピーしました