I-HDFと通常HDの炎症性マーカーと透析効率に対する影響
渡辺内科クリニック 透析センター○切通慎太郎・金田輝・捧竜成・棚橋宏介・斉藤浩次・柿沼敦子・栗原研二・渡辺幸康
【はじめに】I-HDFは、透析中に間歇的に補液を繰り返すことにより、末梢循環を改善し、ヘモフィルタの性能改善、溶質の除去効率の向上を目的とした新しいHDF療法です。今回、我々は通常HDからI-HDFに変更し、炎症性サイトカインなどの中分子量物質から大分子量物質の溶質除去性能・透析効率がどのように変化するか検討を加えてみた。
【対象および方法】対象は、当院維持血液透析患者27例をI-HDFに変更し、検査項目は、高感度CRP、高感度TNF-α、高感度IL-6、高感度IL-1β、プロカルシトニン、α1-MG、β2-MG、プロラクチンとし、治療前後の値を測定し、除去率をHt補正し計算した。また、アルブミン漏出量についても測定した。通常HDから2週間後にI-HDFに変更し、上記数値が治療前後でどう変化したかを検討し、Ht補正した溶質除去率についても計算した。透析液はニプロ社製リンパックTA1を、透析機器はニプロNCV-3(I-HDFのプログラミングは当院独自の方法)を使用した。
【結果】透析前後での炎症性マーカーは高感度TNF-α、プロカルシトニン、β2-MG、に関しては通常HD、I-HDFともに有意に減少していたが、高感度IL-6、IL-1β、α1-MG、プロラクチンに関しては通常HD、I-HDFとも不変で、有意差は認められなかった。また、プロカルシトニン、α1-MG、プロラクチンのHt補正した除去率は有意にI-HDFの方が通常HDより優れていた。アルブミン漏出量は有意にI-HDFの方が通常HDより多かった。
【結論】今回、我々は通常HDからI-HDFに変更し、透析前後での炎症性マーカーなどの除去率を検討したが、プロカルシトニンの除去率は有意にI-HDFの方が通常HDより優れており、I-HDFは炎症性物質の除去を介して、患者のQOLの改善が期待される可能性が示唆された。