第42回群馬県透析懇話会

low QD on-line HDFの炎症性マーカーに対する影響

渡辺内科クリニック 透析センター○捧竜成・棚橋宏介・斉藤浩次・柿沼敦子・栗原研二・渡辺幸康

東邦病院 腎臓内科 渡辺嘉一

【はじめに】SLED-fは透析液流量を落とすことによって小分子物質の除去効率は下がるが、炎症性サイトカイン等の中から大分子量物質の除去率が改善するなどのメリットが得られることを目的とするCRRTとIRRTのhybrid therapyである。この原理を利用し、今回我々は透析液流量QDを落とし、緩徐に血液と透析液が接することにより、炎症性サイトカインなどの中から大分子量物質の除去性能が良くなると予測し、通常の透析液流量QDを500mL/minから300mL/minに落とし、on-line HDFでの置換液にまわし、4時間で48L前置換でlow QD on-line HDF を施行した。

【対象および方法】対象は、当院維持血液透析患者8名。検査項目は、高感度CRP、高感度TNF-α、高感度IL-6、高感度IL-1β、プロカルシトニンとし、治療前後の値を測定し、除去率を計算した。また、アルブミン漏出量についても測定した。通常HDから1週間後にlow QD on-line HDFに変更し、上記数値が治療前後でどう変化したかを検討し、除去率についても計算した。透析液はニプロ社製リンパックTA1を、透析機器はニプロNCV-3を使用した。

【結果】透析前後での炎症性マーカーは高感度TNF-α、プロカルシトニンに関しては通常HD、low QD on-line HDFともに有意に減少していたが、高感度IL-6に関しては両者とも不変、高感度IL-1βに関しては通常HDでは有意差は認められず、low QD on-line HDFで有意に減少していた。また、TNF-α、プロカルシトニンの除去率は有意にlow QD on-line HDFの方がHDより優れていた。アルブミン漏出量は有意にlow QD on-line HDFの方が通常HDより多かった。

【結論】今回、我々は通常HDからlow QD on-line HDFに変更し、透析前後での炎症性マーカーの除去率を検討したが、TNF-α、プロカルシトニンの除去率は有意にlow QD on-line HDFの方がHDより優れており、QDを500mL/minから300mL/minに落としたlow QD on-line HDFであっても、中から大分子量物質の除去性能は通常HDに比べて優れているものと思われた。

low QD on-line HDFの炎症性マーカーに対する影響

 

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